中国における外国投資者によるM&AA

嘉華(北京)法律事務所
弁護士 問 小牛

一、中国における外資買収の一般的態様

 中国における外資買収の一般的規定として、前記の「暫定規定」が挙げられる。200337日に公布され、同年412日より施行する当該規定は合計26条からなり、外資買収の方式、条件、手続きなどについて幅広く規定を設け、その内、特に買収の具体的方式、対価の支払い、買収に係る独占の禁止に関しては初めて明確に条文化されるため、同規定は画期的な意味を有すると評価できる。以下は「暫定規定」に照らし、中国における外資買収の一般的態様について概説する。

 1、適用範囲

「暫定規定」は外資買収に関する一般的な規定でありながら、その適用対象の範囲には多少の制限があり、この点について注意する必要がある。同規定の適用対象は具体的に、

@ 買収側

外国投資者及び外国投資者によって中国にて設立された外商投資持ち株会社(傘型会社、またはホールディングカンパニーともいう)に限る。なお、持ち株会社を除くその他の一般の外商投資企業が企業買収を行う場合は、「外商投資企業による国内投資に関する暫定規定」[1]が適用されることになる。

A 買収対象会社

中国国内にある内資企業に限る[2]

 2、買収の方式

「暫定規定」は外資買収の方式を「持分による買収」と「資産による買収」との二つに分類し、またそれぞれの方式について更に以下の通り細分している。

@ 持分による買収

a.外国投資者が内資企業の現有出資者から持分を譲受け、これにより、当該内資企業を外商投資企業へと変更する。

b.外国投資者が内資企業の増資を引き受け、これにより、当該内資企業を外商投資企業へと変更する。

A 資産による買収

a.外国投資者が中国に外商投資企業を設立し、当該企業を通じて内資企業から資産を購入のうえ、当該資産を運営する。

b.外国投資者が内資企業から資産を購入し、当該資産を以って外商投資企業を設立し、当該資産を運営する。
 

上記方式はいずれもM&Aの内のAに当たり、M(つまり合併)による企業買収については「暫定規定」が言及していない。外国投資者が合併方式を通じて中国国内の企業(内資企業と外商投資企業の両方を含む)を買収する場合は、「外商投資企業の合併と分割に関する規定」[3]に従うことになり、具体的には、外国投資者がまず中国にて外商投資企業を設立するうえ、当該外商投資企業を介して、中国国内にあるその他の外商投資企業または内資企業を吸収合併との方式で買収するというモデルになる[4]


 

[1] 対外貿易経済合作部、国家工商行政管理総局2000725日公布、同年91日より施行。

[2] 内資企業とは、中外合弁経営企業、中外合作経営企業、外商独資企業及び外商投資株式会社のいわゆる「外商投資企業」を除く中国本国の資本により設立された企業のことを指す。

[3] 対外貿易経済合作部、国家工商行政管理総局1999923日公布、2001122日改正。

[4] 外国投資者が直接中国国内の企業を吸収合併し、合併した企業を中国における自らの支店とすることも理屈上可能だと思われるが、実務上、銀行などの金融会社を除く一般の外国企業が支店との形で中国において営業活動を行うことは認められないため、直接の吸収合併は実現できない。

 

(次週に続く)

 

トップへ戻る

Copyright (C) 2005 RAC,inc. all rights reserved.