中国における外国投資者によるM&AF

嘉華(北京)法律事務所
弁護士 問 小牛

二、外国投資者による外商投資企業のM&A

 上記の如く、「暫定規定」は中国における外資買収の一般的規定であるが、その定める買収対象は中国国内にある内資企業に限り、そこには外商投資企業が含まれない。外国投資者が中国にある外商投資企業を買収する場合は、対外貿易経済合作部、国家工商行政管理総局が1997年5月28日に公布した「外商投資企業出資者持分変更の若干規定」を適用することになり、そこに規定がなされていない事項については、「暫定規定」を参照して処理するとされる。
 なお、「外商投資企業出資者持分変更の若干規定」は主に持分による買収に着眼しているため、外商投資企業に対して資産買収を実施する場合は「暫定規定」を準用することになる。また、「暫定規定」の確立した独占に係る報告、審査などの制度も、外商投資企業の買収には適用するものと考えられる。

三、外国投資者による中国国有企業のM&A

 外国投資者が中国の国有企業を買収する場合は、外資買収の一般的規定である「暫定規定」を適用すると共に、その特別規定となる「外資利用による国有企業の組織再編に関する暫定規定」[1] (以下「国有企業組織再編暫定規定」という)にも従うものとされる。
 上記二つの規定はほぼ同時期に公布されたものであるが、両者は整合性に欠く部分があり、立法技術の角度から考えると、「国有企業組織再編暫定規定」にはいくつかの不備な点が見られ、その定める原則や手続き等には実務上の運用が難しいと思われる部分があるほか
[2] 、制定機関の一つである国家経済貿易委員会が既に撤廃され、その職能は商務部、国家発展改革委員会並びに国有資産管理委員会に移行したため、国有企業買収に対する国家経済貿易委員会の行政的権限が現在どこによって行使されるかは不明確である。実際の国有企業買収に当たっては、「国有企業組織再編暫定規定」の運用をめぐり、政府関係部門と相談しながら買収を進めていくところが多いと思われる。
 なお、ここで一つ注意に値するのは、国有企業買収の方式について、「国有企業組織再編暫定規定」第3条は5つの買収方式を確立しており、その内第1、2及び5号は持分買収 、そして第4号は資産買収に分類できるが、残りの第3号は、外国投資者が国有企業の債権者から債権を一旦譲り受けたうえ、当該債権を持分へと転換させ、それによって買収を実現するという比較的新しい方式を確立した。


[1]  国家経済貿易委員会、財政部、国家工商行政管理総局、国家外貨管理局2002年11月8日公布、2003年1月1日より施行。

[2]  例えば、外国投資者の資格要求に関する第5条の規定、国有企業債権の譲渡に関する第7条の規定、買収対象企業職員の配置に関する第8条1項2号の規定、買収審査認可機関の確定に関する第9条の規定などは、それほど意味のないものか、または実務上の運用に支障をもたらす条項であると思われる。

 

(次週に続く)

 

トップへ戻る

Copyright (C) 2005 RAC,inc. all rights reserved.