中国における外国投資者によるM&AI

嘉華(北京)法律事務所
弁護士 問 小牛

四、外国投資者による中国上場企業のM&A

  2、外国投資者による国有株、法人株の譲り受け

 外国投資家に対する上場企業国有株、法人株の譲渡は1995年に発端したが、国有資産の流失を防止するため、国務院が1995年9月23日に「外商に対する上場企業国有株、法人株譲渡の一時停止に係る伺い書の転送に関する通知」を出し、外国投資者への国有株、法人株の譲渡に歯止めをかけた。その後、対外貿易経済合作部、中国証券監督管理委員会が2001年11月8日に「外商投資に関連する上場企業に係る問題に関する若干意見」を公布し、同意見の施行により、外商投資企業に対する上場企業国有株、法人株の譲渡が認められるようになったが[1]、外国投資者及び外商投資持ち株会社についてはそれが依然として禁止であった。
 2002年11月1日に、中国証券監督管理委員会、財政部及び国家経済貿易委員会が「外商に対する上場企業国有株、法人株の譲渡に係る問題に関する通知」を発布し、7年間にわたって外資参入が禁止とされていた非上場株の市場が外国投資者に対して開放されるようになった。同通知は一定の実力を備える外国投資者に対する上場企業国有株、法人株の譲渡を認めると共に、いくつかの原則を確立し、譲渡に当たっては主に下記の規定が遵守されるよう求められる。

a.審査認可

外国投資者が上場企業の国有株、法人株を譲り受けるには、商務部の認可を受ける必要があり、更にその内、非金融類上場企業の国有株の譲渡については国有資産監督管理委員会、また、金融類上場企業の国有株の譲渡については財政部から許可を受けなければならない[2]

b.投資分野制限

外国投資者に対して上場企業の国有株、法人株を譲渡する際は、「外商投資産業指導目録」の定める外資参入の規制に従うものとし、外資参入が禁止される産業に属する上場企業の国有株、法人株を外国投資者に譲渡してはならず、また中方出資者の持分支配が要求される産業では、株式譲渡後においても中方出資者の持分支配が維持されなければならない。

c.譲渡方式

外国投資者に対する上場企業国有株、法人株の譲渡は、原則的に競争入札との方式によらなければならない。

d.株式転売の制限

外国投資者は株式譲渡金支払い済みの時点から12ヶ月以内に、その譲り受けた株を転売してはならない。

e.株式譲渡後の上場企業の扱い

外国投資者に対して国有株、法人株を譲渡した後、上場企業は依然として元の政策を執行するものとし、一般の外商投資企業の享有する優遇政策を受けることはできない。 


[1]  外商投資企業に対して上場企業の国有株、法人株を譲渡する場合は、「外商投資企業の国内投資に関する暫定規定」(対外貿易経済合作部、国家工商行政管理総局2000年7月25日公布、同年9月1日より施行)に従って処理するものとされる。

[2] 「外商に対する上場企業国有株、法人株の譲渡に係る問題に関する広告」(商務部、財政部、国有資産監督管理委員会、中国証券監督管理委員会2003年8月5日公布)及び「外国投資者及び外商投資企業に対する上場企業国有株譲渡の申告手続きに係る問題に関する通知」(商務部、国有資産監督管理委員会2004年1月21日公布)参照。

 

おわりに

以上、中国現行の法規定を軸に、外資買収について簡単にまとめてみた。
 周知の通り、企業買収というのは非常に複雑な商行為であり、その及ぶ問題点が広範囲にわたるほか、一定のモデルとなるものも存在しない。本文の述べた内容は外資買収全体の氷山の一角に過ぎないが、今後その数がますます増えると見込まれる市場環境の中で、本文がM&A方式を通じて中国への進出を図る外国投資者にとって一つの参考になれば幸いである。


 

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