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1.中国の会計基準
(1)国際会計基準
中国においても、国際会計基準を踏まえた企業会計制度が制定され、国際会計基準に準ずる形での個別会計準則が施行され、国際会計基準に沿った方法で調整が進められています。
(2)会計年度
日本においては、定款で独自に会計年度(決算期)を決めることができますが、中国における会計年度は、全て西暦の1月1日から12月31日となっています。会社が独自に決めることはできません。
(3)財務諸表
外商投資企業は、財務諸表の提出が義務付けられています。具体的には、@貸借対照表、A損益計算書、Bキャッシュフロー計算書、C付属明細書を指します。
(4)利益処分・損失処理
外商投資企業においては、董事会によって、利益処分・損失処理がなされます。積立金としては、@準備基金、A従業員奨励及び福利基金、B企業発展基金(これだけ独資企業は、任意)、が強制されています。
(5)開業準備期間中の費用
日本の創業費および開業費に相当します。開業準備期間に発生する全ての費用(固定資産の取得、建設を除く)は、長期前払費用に集計し、会社が営業を開始した月の管理費用として計上します。
(6)外貨建て取引
外貨で取引する場合には、当該外貨をもって記帳本位通貨とすることが可能です。外貨建債権債務の残高は、長短の区別なくしてすべて評価替えの対象となります。毎月評価替えを実施し、為替差損益を認識します。
(7)固定資産
土地使用権は、更地の場合は無形資産に計上し、建設後(工場や建物)に固定費用に振り替えることになります。
(8)投資勘定
投資勘定は、原価法又は持分法が適用されます。@出資割合が20%以上の場合、又はA20%に満たなくても重大な影響力を有する場合に持分法が適用されます。
借方差額は10年以内で償却、貸方差額は資本準備金に計上します。
(9)借入費用
固定資産の取得のための借入費用(利息等)は、資産化が強制されています。
(10)引当金
減損会計が導入され、@債権、A棚卸資産、B長期投資、C固定資産、D無形資産に対して、期末に回収可能性や正味実現可能性価額が帳簿価額を下回っている場合には、その差額について引当金を計上しなければなりません。
更に、将来に損失が発生する可能性の高い事項(係争中の訴訟、担保提供、商業引受手形割引、製品保証等)については、見積負債を計上しなえればならないとされています。
(11)税効果会計
中国においては、税効果会計は強制ではなく、選択可能事項とされています。税効果会計を採用する場合、繰延法または資産負債法を選択することになります。
2.中国の財務諸表
(1)基本財務諸表
基本財務諸表として、貸借対照表(資産負債表)、損益計算書(利潤表)、キャッシュ・フロー計算書(現金流量表)を作成する必要があります。中国では、非上場の外商投資企業でもキャッシュ・フロー計算書を作成する必要があります。
(2)貸借対照表(資産負債表)
資産の部、負債の部、所有者持分の部から構成されます。資産の部は、@流動資産、A長期投資、B固定資産、C無形資産及びその他資産の4つに区分されています。また、負債の部は、@長期負債、A流動負債の2つに区分されており、所有者持分の部は、@払込資本金、A資本準備金、B積立金、C未処分利益の4つに区分されています。税効果会計を選択した場合には、資産の部又は負債の部の最後に繰延税金を表示します。
(3)損益計算書(利潤法)
中国では、経常利益という概念は用いられていません。損益計算書には、主要業務利益、営業利益、利益総額、純利益が表示されます。各項目の算出方法は、以下のとおり。
@主要業務利益(売上総利益に近い)=主要業務収入−(主要業務原価+主要業務税金および付加)
A営業利益=@+その他業務利益−(営業費用+管理費用+財務費用)
B利益総額=A+投資収益+補助金収入+営業外収入−営業外支出
C純利益=B−企業所得税
(4)キャッシュ・フロー計算書(現金流量表)
キャッシュ・フロー計算書は、全ての外商投資企業に作成が義務付けられています。@経営活動によるキャッシュ・フロー、A投資活動によるキャッシュ・フロー、B資金調達活動によるキャッシュ・フローの3つの区分に分けて表示することになります。直説法によって作成されることになっています。経営活動によるキャッシュ・フローについては、間接法によるものを注記することが要求されています。
(5)付属明細表
付属明細表として、@資産評価損失引当金明細表、A株主持分増減変動表、B未払増値税明細表、C利益処分計算書、Dセグメント報告書(上場会社のみ)
(6)財務諸表の作成時期
@貸借対照表 ⇒ 毎月末、年度末
A損益計算書 ⇒ 毎月末、年度末
Bキャッシュ・フロー計算書 ⇒ 年度末
C資産評価損失割当金明細表 ⇒ 年度末
D株主持分増減変動表 ⇒ 年度末
E未払増値税明細票 ⇒ 毎月末、年度末
F利益処分計算書 ⇒ 年度末
※作成期限については、月次⇒6日以内、四半期⇒15日以内、半期⇒60日以内、年度⇒4ヶ月以内とされています。
(7)その他
@財務諸表及び勘定科目
財務諸表の様式と勘定科目は法定されていて、自由に設定することはできません。勘定科目は、1級科目(大科目)、2級科目(中科目)、3級科目(少科目)の3段階の構造となっています。大科目である1級科目を変更することはできません。
A会計ソフトの使用
中国で会計ソフトを使用する場合中国の会計規定に準拠したものにする必要があります。また、財政局への届出が必要となります。
B会計書類の保管
年度の財務諸表その他の重要な会計書類 永久
会計証憑、会計帳簿 15年間
月次、四半期に関する財務諸表 3年間
3.企業所得税の会計処理・・・未払税金法と税効果会計
(1)選択適用
企業所得税の会計処理について、未払税金法または税効果会計を選択適用することとされています。
(2)未払税金法
未払税金法とは、会社が一時差異の所得税に対する影響額を認識せず、当期に計算した納付すべき所得税を当期の所得税費用として認識する方法をいいます。未払税金法では、当期の所得税費用と当期に納付すべき費用は等しくなります。
(3)税効果会計
税効果会計とは、会社が一時差異の所得税に対する影響金額を認識し、当期に納付すべき所得税と一時差異の所得税に対する影響金額の合計を、当期の所得税費用として認識する方法です。税効果会計では、一時差異の所得税に対する影響金額は、以後の各期に繰り延べられ、配分されます。
税効果会計を採用する場合、繰延法または資産負債法を選択適用して計算することができます。
@ 繰延法
繰延法とは、当期に期間差異から発生した税効果金額を、この差異と反対の差異が発生する期間まで保留して振り替える方法をいいます。この期間差異とは、会計上と税務上の損益期間帰属の相違に基づく差異をいいます。
A 資産負債法
資産負債法とは、一時差異にかかる税効果金額を発行年度に計上する方法をいいます。この場合の一時差異とは、会計上の資産負債の金額と税務上の資産負債の金額との間に差異があり、会計上の資産負債が将来回収あるいは決済され、当該差異が解消されるときに、税金を増減させる効果がある場合の差異を指します。
資産負債法に適用される税率は、一時差異が解消する将来の年度に適用される税率であり税率改正や新税の徴収開始等による調整を実施する必要がある点で、繰越法とは異なります。
(4)一時差異
一時差異には、将来減算一時差異と将来加算一時差異があります。将来減算一時差異とは、一時差異が発生したときに、税務上加算調整され、将来、税務上の要件を充足したときに、減額調整される差異をいいます。将来加算一時差異とは、一時差異が発生したときに、税務上減額調整され、将来、差異が解消したときに、加算調整される差異をいいます。
※永久差異とは、会計上、費用収益として計上されても、課税所得の計算上、永久に損金あるいは益金とならない項目の差異をいいます。永久差異は、将来の課税所得を増減させる効果を持たないため、税効果の対象にはなりません。
(5)税効果会計を採用した場合の留意項目
@引当金
企業会計制度では、減損会計が導入され、売掛債権や棚卸資産等に対して、期末に検査を行い、貸倒引当金あるいは評価損失引当金の計上をします。
税務上は、金融業およびリース業のみにしか貸倒引当金の計上は認められていないため、それ以外の業種は、有税処理となります。評価損失引当金についても、税務上の損金算入は認められず、有税処理となります。
A減価償却費
企業会計制度上の耐用見積年数は、固定資産の性質等により設定するため、税務上の法定耐用年数との相違が発生します。この一時差異についての税効果を認識することになります。
B開業準備費用
企業会計制度上、開業準備期間に発生するすべての費用は、まず長期前払い費用に集計し、会社が生産経営を開始した時点で、当該開始月の損益に一括して管理費用として計上します。税務上は、5年以上の償却になっていますので、その相違から発生する一時差異について税効果を認識することになります。尚、この場合は均等償却となります。
C見積負債
企業会計制度上、外部への担保提供、商業引受手形割引、未解決訴訟、製品保証等により将来に損失の発生する可能性の高い負債に対して見積負債(負債性引当金に該当)を計上する必要がありますが、税務上は損失が確定していないため加算調整することになります。そのため、一時差異が発生し、税効果を認識することになります。
D繰越欠損金
中国においても、税務上、5年間の繰越が認められています。この期間内に課税所得が発生した場合には、課税所得からの減額が認められ、課税所得税の軽減効果が期待できます。ただし、優遇税制を受ける場合は、減税効果がないということになりますので、繰越欠損金に対して税効果を認識することはできません。
E税率
外商投資企業に適用される税率についても、基本税率は企業所得税30%、地方所得税3%所合計33%となります。優遇措置を受ける期間は、免除又は半減されます。
4.連結財務諸表
(1)連結財務諸表を作成しなければならない企業
@国家国有資産管理局が経営管理を授権した企業
A株式上場企業
B連結財務諸表を作成しなければならない対外貿易企業
C外部に対し連結財務諸表の提出が必要なその他の企業
(2)連結範囲
@持分資本(議決権を有する資本)の過半数を保有する被投資会社
A実質支配している被投資会社
但し、営業停止している会社、清算整理を宣告されている会社、破産宣告を受けている会社、短期的に過半数の持分性資本を保有しているにすぎない会社、所有者持分がマイナスである会社、所在国の外国為替規制や資金調達の制限を受けている国外の会社は連結対象外とすることができます。
(3)作成の必要な連結財務諸表
@連結貸借対照表
A連結損益計算書
B連結キャッシュ・フロー計算書
C連結利益処分計算書
(4)消去仕訳
@投資と所有者持分
親会社の子会社に対する投資と子会社の所有者持分を相殺消去し、相殺時に差額が発生した場合には連結差額として処理することになります。子会社の所有者持分のうち、親会社の所有に属さない金額は少数株主持分として処理することになります。
A債権債務
連結内における相互間の債権債務は、相殺消去することになります。貸倒引当金についても同様に消去することになります。
B棚卸資産の未実現利益
連結内の売買取引により未実現利益が存在する場合、棚卸資産に含まれる未実現利益の金額を消去することになります。
C固定資産の未実現利益
連結内の固定資産取引により未実現利益が存在する場合、当該金額は相殺消去することになります。減価償却を行う固定資産については、減価償却の調整計算を行う必要があります。
D内部売上高
連結内における内部売上と売上原価は、相殺消去することになります。
E債権投資収益
連結内における投資収益は、対応する利息支出と相殺消去することになります。
F持分性資本から生じる投資収益の消去仕訳
親会社の子会社に対する持分性資本から生じる投資性収益と子会社の利益処分に対応する金額は相殺消去する必要があります。子会社が行う利益剰余金繰入等の利益処分もまた、連結財務諸表作成の観点から相殺消去する必要があります。
(5)連結対象会社の異動があった場合の処理
@連結貸借対照表
報告期間内に連結対象会社の異動があった場合、期末の時点の状況により連結貸借対照表を作成することになります。連結貸借対照表の期首残高の調整は行いません。但し、財務諸表の注記において、売却あるいは買収した会社が、企業の報告期間の財政状態および経営成績に及ぼす影響、および前期の関連金額に及ぼす影響を示す必要があります。
A連結損益計算書
報告期間内に企業を売却した場合は、期首から売却日までの収入や原価等を組み入れる必要があります。報告期間内に企業を買収した場合は、買収日から報告期間末までの収入や原価等を組み入れる必要があります。
B連結キャッシュ・フロー計算書
報告期間内に企業を売却した場合は、売却した会社の期首から売却日までのキャッシュ・フロー情報を組み入れる必要があります。報告期間内に企業を買収した場合は、買収した会社の買収日から報告期間末までのキャッシュ・フロー情報を組み入れる必要があります。
(6)その他
@決算日および会計期間
連結対象会社についても一致させる必要があります。不一致の場合は、親会社に合わせて調整もしくは作成する必要があります。
A会計方針
会計方針についても、親会社と連結対象会社で統一する必要があります。
4.監査制度
(1)概要
監査制度には、社内の監査役による監査と外部の登録会計士による監査があります。
社内の監査役は、有限会社においては3名以上の監査役会、中小企業においては1名ないし2名の監査役の設置が義務付けられています。外商投資企業には、特別法である合弁企業法や外資企業法が優先適用されているため、監査役については厳格に適用されていません。
外部の登録会計士による監査は、独立の第三者による会計監査です。外部の会計監査業務の実施主体は中国に登録された会計事務所でありその業務内容は、登録会計士法に規定されています。登録会計事務所の行う監査証明には、年度財務諸表に対する会計監査、出資の検証、合併・分割・清算処理、経済紛争等の証拠鑑定等があります。
(2)出資検証
外商投資企業を設立する場合、設立時に出資検証が必要になります。この出資検証報告書は、登録会計事務所により作成することが義務付けられています。
(3)財務諸表の監査
外商投資企業は、毎期末に会計監査を受け、監査報告を添付して財政機関、企業主観部門、税務機関等の関係部門に年度財務諸表を提出することになります。期末の会計監査は外商投資企業が会計事務所に対し会計監査を依頼し、決算日後4ヶ月以内に監査報告書を受領することになります。
外国投資者が中国の法定監査以外に親会社の会計監査の一環として別途監査を必要とする場合は、任意監査を受けることが可能です。
5.会計担当者の資格制度
中国では、経理実務を担当するための資格制度として、会計従業資格証書というものがあります。会計責任者となるためには、会計従業者に加えてさらに会計士以上の専門技術職務資格または3年以上の実務経験が必要となっています。この制度は、会社の外部から独立した立場で会計監査を実施する登録会計士とは別の制度です。
(1)会計従業資格証書
会計従業者証書を取得するためには、会計従業資格試験に合格する必要があります。経理実務を担当する者は会計従業資格管理部門に登録し、原則として2年ごとに会計従業資格証書の定期検査が実施されます。会計従業者資格証書の取得者2名を会社内部に雇用していない場合、税務署から増値税発票の発給を受けられない場合もありますので留意が必要です。
(2)会計専業職務
会計専業人員職務施行条例は、会計専業職務を、高級会計士、会計士、助理会計士、会計員の4種類に分け、高級会計士は高級職務を、会計士は中級職務を、助理会計士及び会計員は初級職務をするものと規定しています。
この資格認定は、全国統一会計専業技術資格試験の『初級』『中級』と各省ごとの『高級』試験により行われます。『初級』に合格すると会計員に任命されることができ、一定の実務経験をもつと助理会計士に任命されることが可能となります。『中級』は、会計士に、『高級』は、高級会計士に任命されることが可能となります。
(3)総会計師
国有企業あるいは国有資産が支配的な重要な部分を占める一定以上の規模の企業では総会計師を置く必要があります。総会計師は、企業内部の会計総責任者といった立場にあるということができます。
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